身近な死を乗り越えるということ

悲しい死別の場面は、患者の中で言うなれば「蓋をされている状態」でしょう。蓋を開ければ、生々しい感情が出てきます。しかしそういう状態では、いつまで経っても現実を受け入れて整理していく事が出来ないでしょう。

それを敢えて口にする事で、未整理だったものを徐々に整理していく事も大切だと思うのです。このような治療法が現在、複雑性悲嘆に対する有効性を証明された治療法であるとされています。

その一方で注意して進める必要がある繊細なものでもあります。一定のトレーニングを受けた精神科医や臨床心理士の指導のもと、患者さん本人にも治療内容を十分に理解してもらった上で、細心の注意を払いながら治療を行うのです。

死別という悲しみは絶え間なく、ふとした瞬間に喪失感を抱く事もあるでしょう。ただ、それで日常生活まで蝕まれてしまう事はないと思います。どんなにこじれた悲嘆であっても、必ず出口がどこかにあります。